■サモ・ハン・キンポーの出世作でもある『燃えよドラゴン』
以前の投稿で『燃えよドラゴン』の俳優(女優)・スタッフのその後を紹介しましたが、大事な人物を紹介するのを忘れました。そう、サモ・ハン・キンポーです。オープニングのシーンでお寺の庭先でブルース・リーと試合を行った人です。現在サモ・ハン・キンポーは69歳ですが現役バリバリでアクション俳優として活躍しています。『燃えよドラゴン』撮影当時は、21歳の青年でした。太っているものの、バク転をこなすなど動きが非常に軽やかな印象を受けました。また、オープンフィンガーグローブという当時としては斬新・画期的なグローブを身に着け、パンチだけではなく、つかみ投げることも可能な試合(当時の空手などの格闘技では、打撃による攻撃が主流でした)運びは、後に形成され定着した総合格闘技に大きな影響を与えたことは、皆さんご存じのとおりです。
このオープニングで最初に出てくる映像は、寺院の門と本堂らしき建物と見受けられます。屋根が黄色がかった朱色でいかにも中国寺院といった感じですが、このお寺はどこにあるのでしょうか? 1980年代後半に私が得た情報では、香港のランタオ島にある宝蓮禅寺で撮影された、というものでした。1990年代初頭に香港へ度々旅行する中で宝蓮禅寺へも足を運びました。ランタオ島のバスターミナルからバスで約40分で到着。荘厳な出で立ちのお寺で「そうか、ここで『燃えよドラゴン』のあの有名なオープニング・シーンが撮影されたのか」と感慨にふけっていたことを思い出します。
■オープニングの寺院は「宝蓮禅寺」ではなかった?
ところが、あれから30年ほどたって、ネットで様々なブルース・リー情報が流れる中、オープニングの寺院は、香港・新界地区にある「青松観」という道教寺院だという情報を入手。その寺院の写真や動画を見ました。本堂は確かにそっくり似ています。が、その手前にある門らしき建物が映画と青松観では異なっています。この門らしき建物は撮影の1973年以降何らかの理由で建て替えられたのか、それとも青松観ではなく別の寺院で撮影されたのでは、との思いもよぎります。実際、香港旅行三昧の時期は、宝蓮禅寺で間違いないと思い込んでいた(結局、宝蓮禅寺には3回ほど行きました)ので、他の寺院へはあまり行きませんでした。青松観へは一度も行っていません。なので、ネット動画などを見て確認するしかなく、「この寺で間違いない」「いや、ここではない」と断言することはできません。ただ、実際に青松観へ行った人からのネット投稿によると、「似ているが、ちょっと違うような気がする」「この寺院で間違いない」など反応はマチマチです。
私から結論を言うことは勿論できないですが、当時有力視されていた宝蓮禅寺は、よく見ると、映画の映像とは違っていることがわかります(本堂の屋根の部分が明らかに違う)。個人的には、本堂が映画のとそっくりそのままという点で青松観がやや優勢のような気がします。青松観本堂の手前の門は、おそらく建て替えられたのではないでしょうか(断言はできません)? これは、実際に青松観へ行って自分の目で確かめるしかないでしょう。真偽のほどは、ワーナーブラザーズもしくはゴールデンハーベストに問い合わせるしかないようです。
■ファンのブルース・リー探究の旅は永遠に
『燃えよドラゴン』が日本で公開されて以来、ブルース・リー主演映画の批評から始まり、ジークンドーの神髄等ブルース・リーの武道哲学、彼の人生哲学等々話題は進んでいき、撮影ロケ地巡りで「あの有名なシーンはここで撮影された!」などとブログや動画で紹介されるようになっています。ファンのブルース・リー探究の旅はとどまることを知りません。今後も永遠に続くことでしょう。■