■ジョン・サクソンは昨年83歳で死去
今回は、『燃えよドラゴン』の出演俳優(女優)・制作スタッフのその後を見てみたいと思いますが、あれから50年近くもたっており、時の経過を感じさせます。
まずブルース・リーですが、ご存じのように『燃えよドラゴン』撮影・編集終了後の1973年7月20日に32歳の若さで突如この世を去りました。
黒人武道家にして俊敏なファイターの役どころを演じたジム・ケリー(ウィリアムズ役)も、2013年に67歳で、悪党ハンを演じ「鉄の爪」で世界的に有名となったシー・キエンは、2009年に96歳で、ハンの美人秘書役を演じたアーナ・カプリも2010年に66歳で、少林寺の高僧役を演じたロイ・チャオも1999年に72歳で、ニュージーランド人の武術家役で挑発したブルース・リーから「私のスタイルは、『戦わずして戦う』芸術だ」と言わしめたピーター・アーチャーも2000年に56歳で、亡くなりました。
そして、ブルース・リーと共演したジョン・サクソン(白人のローパー役)も、昨年83歳で死去しました。ご冥福をお祈りします。
ジム・ケリーは、『黒帯ドラゴン』など数々の黒人アクション映画(ブラックスプロイテーション映画)に出演し、70年代に人気を博しました。シー・キエンは、ジャッキー・チェンやチョウ・ユンファの映画に出演するなど高齢ながらも健在ぶりをアピール。アーナ・カプリは、女優業というよりもむしろ、彼女が『燃えよドラゴン』の撮影現場を自身のカメラで撮影したフィルム映像(「アーナ・カプリ・フィルム」)がブルース・リーのオークションで当時あまりにも高額だったため落札されなかったことで、マニアの間ではより記憶に残る人物でした。ロイ・チャオは、数々の香港映画に出演したほか、ハリソン・フォード主演のハリウッド映画『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)にも出演。ジョン・サクソンは、『エルム街の悪夢』など数々のハリウッド作品に出演しました。ピーター・アーチャーのその後は詳しくないのですが、50代での死去は、ちょっと早いかなという気がします。
■ロバート・クローズ監督、『燃えよドラゴン』公開25周年を前に死去
制作陣では、ハリウッド側からは監督のロバート・クローズは、『燃えよドラゴン』公開25周年の前年の1997年に68歳で、プロデューサーのフレッド・ワイントローブは2017年に88歳で、ポール・ヘラーは昨年末に93歳で亡くなりました。香港側では、ゴールデン・ハーベストの社長のレイモンド・チョウが2018年に91歳で死去しました。
■「オハラ」「ボロ」などは健在も70歳以上の高齢に
一方、ハンのボディーガードでブルース・リーに徹底的に叩きのめされたオハラ役を演じたボブ・ウォールは現在81歳、筋骨隆々の怪力ボロ役を演じたボロ・ヤンは現在74歳、ブルース・リーの妹役を演じたアンジェラ・マオは現在70歳、「吹き矢」の女性潜入エージェント役のベティ・チョンは現在74歳、また、ブルース・リーのスタントマンで、オハラを宙返りして蹴とばすシーンなどの吹替をこなした(数カット出演もしています)ユン・ワーは現在70歳と、健在です。半世紀近くも前につくられた映画ですから、皆さんそれなりに高齢で中には役者を引退した人もいますが、これからもそれぞれの分野で現役バリバリで活躍してほしいものです。■