■ジェフ・チンさんとのインタビューが実現
世界的に有名なブルース・リーコレクター、ジェフ・チン(Jeff Chinn)という人をご存じでしょうか? 彼は、中国系アメリカ人で現在サンフランシスコ在住。生まれもサンフランシスコでブルース・リーと出身地が同じ。しかも、生まれた病院(チャイナタウンの病院)までも一緒。子供のころに親と見に行った「ドラゴン危機一発」でチャイニーズ・ヒーローの登場に胸を躍らせ、自分自身も中国系であることから、一気にブルース・リーの大ファンになって以来、世界中のブルース・リー関連商品をコレクションし現在に至っています。
私は、今から20年ほど前に、アメリカの大学院に留学し放送ジャーナリズムを学んでいました。大学院修了時に卒業論文ならぬ「卒業ニュースパッケージ」として1本何かニュース番組を制作しなければなりませんでした。カメラを持ってインタビューし関連映像を撮影、編集―と、ひとりで全部こなさなければなりません。「何を題材に取材しよう」と悩んだ挙句、私も大のブルース・リーファン、コレクターでもあったので、「そうだ、ジェフさんにインタビューしよう」ということで、事前に彼にメールで取材の申し込みをしました。ジェフ・チンさんのことは、かの有名なブルース・リーのポスター・チラシ・雑誌など主要なコレクションを収録した書籍『ブルース・リー超全集』(白夜書房発行)で記事が掲載されており、知ってはいました。その書籍に、ジェフさんの『「ブルース・リー超全集」のための論説』と題する投稿が掲載されており、彼のメールアドレスも載っていたので、連絡できました。すぐ取材OKの返事を出してくれたので、インタビューが実現したわけです。
■ブルース・リーの青功夫着は残念ながらお目にかかれずも、貴重な夢のような体験
ジェフさんは、当時1人の日本人留学生だった私を、快く迎えてくれました。自宅にある、一面コレクションでいっぱいの「ブルース・リー・ルーム」に案内され、そこにはポスター、雑誌のみならず、ブルース・リーのジークンドー師範時代に作られた名刺などなかなかお目にかかれない貴重な遺品も見せてくれました。ジェフさんが所有するご自慢の一品である、ブルース・リーが「燃えよドラゴン」で実際に着ていた青の功夫着(有名な「考えるな、感じるんだ!(Don’t think. Feeeeeeeel!)」の名台詞を出すシーンで着ていました)も見せてほしかったのですが、当時はブルース・リー25回忌前後の時期で「ワーナーブラザーズに展示物として貸しているところで、現在ここにはないんだ」と言われ、ちょっとがっかり。でも、こんなに多くのグッズを見ることができたのは、貴重な夢のような体験だったと思います。
■「ブルース・リーが中国人としての誇りと自信を呼び起こしてくれた」
インタビューの中でジェフさんは、「ブルース・リーが中国人としての誇りと自信を呼び起こしてくれた」と語っていました。「以前のハリウッドでは、中国人役は、白人が眉を吊り上げた変なメイクアップをし、給仕だとか身分の低いうだつの上がらない役を演じていた。私は、そんな映画を見てたまらなく嫌悪感を抱いた」ところが、「ブルース・リーは、己の肉体で敵を倒し、正義感を貫き通すなどちゃんと自己アピールをし、初めてまっとうな生身の人間として登場した」などと強調していました。語り口は、控え目というか常に淡々としており、冷静沈着。オーバーリアクションしない人でした。■