■戦艦大和の最期を見た男性は「戦争の生き証人」
世界最大の戦艦大和が、太平洋戦争中アメリカ軍に撃沈されてから、7日で76年を迎えます。大和の最期を見届けた99歳の元乗組員の証言が某ニュース番組で紹介されました。1945年4月7日、鹿児島県沖で攻撃を受け、沈没しました。乗組員3332人のうち、生き残ったのはわずか276人。 大和の最期を知る男性が、現在和歌山県に住む御年99歳の西田耕吾さん。大和から生還した数少ない乗組員の1人です。100歳近いというのに、表情や口調はしっかりとしており、健在です。戦死した仲間・同僚の分まで一生懸命生きようという強い意思をお持ちなのでしょうか。「戦争は絶対にしてはならない」と力説する西田さんは、「戦争の生き証人」として、私たちが真摯に耳を傾けなければならない貴重な存在です。大和は、現在もなお海底に沈んだ状態であることから、「遺族のために大和の引き上げを行ってほしい」と強く訴えていました。
■戦艦アリゾナは「メモリアル」に
一方、「撃沈された」といえば、日本海軍による真珠湾攻撃によって撃沈された戦艦アリゾナがあげられます(今年がちょうど真珠湾攻撃80年にあたります)が、大和同様海底に沈んだ状態です。日本海軍の攻撃によって1177人の乗組員は全員死亡しました。戦後、船体を引き上げることをせず海底に沈んだ状態のまま保存し、船体上にアリゾナ・メモリアル(アリゾナ記念館)が建てられましたが、今も1000人近くが海底の艦内に眠っているそうです。
■遺族のために引き上げ実施を
戦艦アリゾナを撃沈された当時のまま亡くなった乗組員とともに「メモリアル」として残すアメリカの発想・考え方は、慰霊碑としての位置づけがあるとはいえ、日本人にはなかなか理解しがたいところもあるでしょう。大和の場合、日本の遺族なら、一刻も早く引き上げてきちんとお墓に埋葬させてあげたいなどと思うのは当然。大和が沈没したのは、鹿児島沖(日本近海)であり、日本から遠く離れた太平洋の奥地ではありません。なぜこれまで引き上げることを検討・実施してこなかったのでしょうか(私の記憶の限りでは、引き上げを検討するというニュースすら聞いたことがありません)。また、太平洋戦争で撃沈された戦艦・空母等はほかにも数多くあり、多くの乗組員が海底に眠っています。戦後76年を迎えようとする今、政府には「二度とあのような悲惨な戦争はしない」と心に誓う意味でも、早急に対策に乗り出してほしいものです。西田さんのような戦争の生き証人は、戦後数々の戦争経験者が年月の経過とともに亡くなり戦争を知らない世代が増えていく中、ますます貴重な存在となっています。戦争の悲惨さ・虚しさを次の世代へ語り継がねばならない、同じ過ちは繰り返してはならない、という意味において、今回のテレビ報道は私たちを正しい方向へ導いてくれる模範として、大いに評価したいものです。■