■中学時代、『おしん』のひたむきな生き様に心打たれる
『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』で有名な脚本家の橋田寿賀子さんが先日7日に亡くなりました。95歳でした。ここ数年、テレビのドキュメンタリー番組などで自身の死生観、脚本家の心得などをしっかり語るなど、元気に振舞い健在ぶりをアピールしていました。頑張って100歳まで生きてほしかったと思いましたが、残念です。
私にとって橋田さんの脚本ドラマで特に印象に残っている作品は、『おしん』です。私が中学生のころにNHKの「連続テレビ小説」でオンエアーされ、毎朝食い入るように観ていました。明治・大正・昭和と激動の時代を生き抜いたひたむきなその姿に、「女性の真の強さ」を感じ、大いに感銘を受けました。その約10年後におしんのモデルとなった人物の故郷である熱海で働くことになるとは、当時思いもしませんでしたが。不思議な縁を感じます。
■『おしん』の故郷・熱海で働くことに
おしんのモデルは、熱海のスーパー『ヤオハン』の創業者・故・和田カツさんです。その長男の和田一夫さんが『国際流通グループヤオハン』として一時期アジア、アメリカなど世界中に店舗を広げ、一躍時の人になりました(和田一夫さんは一昨年90歳で逝去されました)。そのヤオハンに就職したのです。熱海本店に配属されました。いまから約30年前のことで、「ここが、『おしん』の息子が後継し大きくしたスーパーなのか」と感慨深く眺め熱海本店の前で新入社員同期とともに記念写真を撮ったのを、まるで昨日のことのように覚えています。
■今も熱海を訪れるたびに『おしん』を思い出す
現在私は、ヤオハンをすでに退社しています(ヤオハン自体残念ながら1997年に倒産しました)が、その後もプライベートや旅行で何度も熱海を訪れています。その度にヤオハンで働いていた時のことを懐かしく思い出すと同時に、『おしん』のほか橋田さんのことも「本当に心に染み入る素晴らしい脚本を書く方だった」と思い出しています。橋田さんへの追悼として『おしん』が近々再放送されるのではないでしょうか。「人生100年時代」と言われるようになっていますが、橋田さんの95歳は、大往生です。自分もそのくらい長生きして人生を謳歌したいと思います。ご冥福をお祈りします。■